今回は偏差値50までの中学受験理科について書いていきたいと思います。
理科は暗記のようで暗記ではない。
だからこそちょっと点数の伸ばし方が特殊かな?と思いますが、主要二教科ほど問題にはならない影の存在です。
いままで、算数や国語、そして僅かながら社会も書いてきましたが、前回記事(5~6月中に読んでおきたい中学受験記事まとめ)を書いたときに、理科を書いていなかったことに気付きました。
理科は暗記と理解と計算と…?
理科は大きく分けて4分野あります。
「生物」「地学」「化学」「物理」です。
左ほど暗記、右ほど理解が必要になってきます。
念のため、【偏差値50以上】というマークで、50以上向けの取り組み方もかいておきました。
暗記に比重を置く理科=「生物」「地学」
生物
「生物」分野では、とにかく暗記が必要になります。
どれだけ生物に興味を持つことができるか、そして姿をイメージできるか、どれだけ自然に慣れ親しんでいるか、図鑑を見た回数などでも決まってきます。
例えば、「完全変態」と「不完全変態」の問題は中学入試頻出です。これは、さなぎの有無が想像できるかどうかで一気に変わってきます。
他にも、花びらの枚数や、おしべ・めしべの場所など、やはりイメージで記憶している子が強いのです。
暗記するときは、必ず資料集をみながら。目を閉じたらその言葉の写真が浮かぶくらいになっている人はもう間違えないでしょう。
分類が苦手なら、自分で図を書いて整理しましょう。
もちろん、理論的にはきちんと理由が存在しているのですが、なぜこの植物にはオスメスが存在するのかなど生物学的に真面目に教えてくれる教養のある先生はあまりいません。
それは、社会の先生で、なぜ憲法の13条(幸福追求権)と14条(平等権)が一緒では無くべつの条文なのかを真面目に教えられる先生がいるかどうかという話と似ています。
そして、そこに興味をもつ子供も少ないです。
興味を持たせられる先生であれば素晴らしいですが、全ての子供が興味を持つわけでもないですし…。応用問題になると、生物も考え方が重要になってきます。
葉脈の種類や発芽の仕組みはともかく、動物の分類には特に難問が多いので、ある程度までは伸ばしやすいですが、その先一気に難しくなってしまい点数がとりにくくなるのが特徴といえます。
地学
さて、「地学」分野では、同じく暗記が必要になります。
生物同様の暗記としては、岩石の分類が代表的でしょう。
その他、地形ができるまで(川との関係)や、石・砂の運ばれ方、天体も、基本的な部分は暗記になります。
新幹線はかりあげ、がかなり有名だと思います。
天体なら、北極星がなに座か分からないともはや問題を解くことができない場合もあります。
やはり名称の暗記は必須なのです。
しかし、生物同様、頭を使わないと解けない問題が多いのが、地学のうちでも「地層」と「天体」です。
特に「天体」は躓く子が多い分野です。
地学の応用問題、「地層」では、どういう順番で出来たかを並び替えることができれば上出来です。
それ以上の難しい問題はさほどでないと思います。
一番の問題は「天体」で、これが地学の最難関分野であると思います。
幸い、中学受験ではまだ惑星の誕生についてやらないので宇宙分野の難易度はほぼ「月」「太陽」「星座」に絞られます。
「地学」の最難関分野=「天体」について
まず、「天体」では、基本的な性質と名称を覚えなければはじまりません。
どちらからどちらへ動くのか、どこからみるとどんな見え方になるのか。そこがわからないともう応用問題に手も足も出ません。
「天体」で躓く人が多いのは、「●●の動き」シリーズです。
星の動きは特にわからなくなる傾向があるようです。星の動きはメモリーチェックが優秀なので、メモリーチェックでしっかりと理解すると良いと思います。
ポイントは、「1日の動き」と「1時間の動き」が違う点にあります。これは公転と自転に関係しているので、地球の動きも合わせて理解して貰いたいところです。
難しめの総合問題になると、地球の地軸が関わる問題が出てきて、必ず図が出ます。
- 春分秋分と夏至や冬至の動きがどのように違うのかを理解しておくこと(自分で図をかけるようにしておくこと)
- 星座で、方角が決まっているものは覚える(南=さそり座、北=こぐま座、おおぐま座)
- 星座で、季節の「大三角」にあたるものと、上で述べた方角がきまっているものは必ず星座名と星名を覚えておく。
- 色や明るさが決まっているものは覚える(アンタレス=赤、シリウス=明るい)
- 【偏差値50以上】南中高度と緯度の関係が星座の見え方にも関わってくるので必ず類題を解いて勉強する
天体においては、理科の基本問題6年はおすすめできません。
特に天体のレベルBは難しい上解説が少ないので自習用には不向きです。
自信を無くすだけなので、使うとしてもレベルAまでにしてください。
算数力が直結する?=化学
化学も基本は暗記ですが、暗記していなくても解ける問題があります。それは、溶解度の問題です。
ミョウバンを水に溶かした~などの問題では、算数の割合、食塩水ができていれば表からさっくり導き出すことができます。
ですから、溶解度やグラフが苦手ならばまず算数の割合分野を強化する必要があります。
実際、溶解度やグラフが苦手な子で、算数のその分野が得意な子はあまりいませんでした。
化学の暗記では、リトマス紙やBTB溶液、フェノールフタレイン液など、実験器具が多く出てきます。
これらが何を判別するもので、何に対してはどんな効果を見せるのか、しっかりと分けて覚えましょう。
BTBなど色が印象的なものは資料集を使うと良く覚えられます。特に女の子にオススメです。
カラフルなのでBTB溶液とフェノールフタレイン液は人気があります(笑)
同じく、気体を回収するための置換法も、なぜその置換法を使うのか、気体の性質と合わせて覚えましょう。
やはり、化学の勉強にもメモリーチェックが非常に有効です。
物理は、理解が大切!算数も大切…
物理は女の子が苦手な分野です。男の子は割と好きです。
「てこ・ばね・滑車」は理解しやすい分野ですが、算数の比ができないと折れます。
つまり、算数の比ができない子はここでも躓くことになるのです。
「音・熱」でも比が重要になるため、やはり比は必須です。
「光」は比がなくてもできますが、きちんとわかりやすく理論を説明できる人がいて、練習と経験を積み重ねて身につけるものです。
ぶっちゃけ、光でも算数が要らないとは言い切れません。光でもやさしめの「鏡」問題は、算数の平行線と角度の部分を使っていますし、凸レンズになると「てこ」よりも難しいです。
さて、全体的に見ると一番嫌がられる分野が「電流」です。
面白いことに、東京理科大学が新大学生に課したテストでも電流が一番理解が低かったとのことで、理系に進んだ子でも電流は苦手だとハッキリあらわれてしまっています。
では、なぜ電流は嫌われるのでしょうか?
中学入試レベルの「電気」分野について
まず、基本的な「電池」の繋ぎ方をマスターします。
直列並列、個数による電流の強さを理解することは必須です。
同様に、「豆電球」の繋ぎ方をマスターします。上と同じです。
さらに、「電池」「豆電球」「なにもない線」が混ざった問題を沢山練習して、自分の考えている理論で合ってるのかをちゃんと確認して、しっかりと正しいものを身につけましょう。
よくあるのが、豆電球直列と電池並列、豆電球並列と電池直列の場合の電池の持ちを間違える。
ここまでが基本です。このレベルまでできていれば偏差値45は絶対にあるでしょう。
さらに、安定させるために磁力について学びます。
巻くほどどうなるのか、そして手をつかってどちら巻きだとどちら向きに電流が流れるのかは絶対に押さえておかなければいけません。鉄の棒の太さも大いに関係があります。
【偏差値50以上をめざす】方位磁石をマスターできるか
そして、一番頭を悩ませるのはこれです。「方位磁石」。
ただ方向をみるだけなら全然いいのですが、一番辛いのが、豆電球、電池があって電流の流れる電線の上や下に配置されているモノです。
上に置いた場合どうなる、下に置いた場合どうなる、をまずしっかりと理解しましょう。
そして、手を使って親指をどちらに、指の向きが何を指すのかを利用して、方位磁石の針がどうなるのかを推理していきます。
大変頭の痛い作業です。慣れれば面白いですが、答えをみるまで不安です。
方位磁石の問題は、一冊の問題集には数が多くなく答えを覚えてしまいがちになります。
本科、栄冠に加えて、メモリーチェック、基本問題も取り組むと良いでしょう。
これまでできるようになれば、あとは偏差値55以上を目指すのに必要なのは、むしろ、「てこ」のほうでしょう。
偏差値60前後の男子校では、棒に重さがあったり、さらには棒の太さが均一でないなんていう応用問題が出ます。
ここまで必要だとしても、まずはそれ以外の部分をしっかりおさえることからはじめるのがよいと思います。
理科の分野と参考書の組み合わせについて
「本科」「栄冠」「メモリーチェック」「基本問題シリーズ」「資料集」があるとします。
物理と化学の大前提
- 算数の「比」をしっかり復習する。6年ではなく5年までのものが基本。
- 算数の「割合」の食塩水をしっかり復習する。6年のレベルまでやっとく。
生物の基本レベル、地学の基本レベル、化学の基本レベル
- 資料集を見ながら本科を読み、栄冠を埋める
- 栄冠とメモリーチェックを何周もする
これに限ります。物理は後述。
基本問題は特に使わなくていいとおもいます。
特に地学は使わないでください。よりわからなくなります。
物理の基本レベル
- 本科を読んでも理解できない場合、メモリーチェックの左を読んで右を埋めるほうが早い
- 本科がわかるなら、本科の問題をやってからメモリーチェックと栄冠を行う。
- 問題演習には、栄冠ならびに基本問題のA問が良い。
これだけやればさすがに50はいけるとおもいます。
それでも50いかないのであれば、やはり正しい知識が頭に入っていないか、知識を活用できないかのどちらかでしょう。