単語の暗記に必勝法はあるんだろうか?
正直に言うと、私は単語の暗記が苦手だ。単純暗記が苦手なのだ。
逆に得意なものは、語学ではないが人間の情報だ。メモを取らなくてもその人間がどういう人間で何が好きで昔何を言っていたのかしっかりと覚えている。
単語の暗記に必勝法があるならば知りたいとずっとずっと思っていたし、効率が良いとされる方法は一通り試してきた。それについて少し話したいと思う。
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英単語の暗記方法といえば…
暗記「対象」の選択 × 暗記「方法」の選択
「対象」
:(1)出る順単語帳
:(2)長文単語帳
:(3)例文単語帳
:(4)既存教科書、問題集、過去問、新聞等
「方法」
:(a)音読
:(b)赤シート・コピー黒塗り
:(c)書き殴り
:(d)単語カード
評価項目
:速効性…やってすぐ効果が出るか
:手軽さ…始めやすいか、買いやすいか、おひとりさまOKか
:覚えやすさ…インプットしやすいか
:忘れにくさ…覚えたものを忘れにくいか
:正確な用法…どういった状況で使われる単語か、単語の正しいイメージを持てる度
どの方法が一番良いかは人によると思う。まず一般的な話をして、次に私の個人的体感を述べていきたい。
(1)「出る順単語帳」の暗記
速効性:☆☆☆
手軽さ:☆☆☆
覚えやすさ:☆☆★
忘れにくさ:☆★★
正確な用法:☆★★
ターゲット1900やTOEICスピードマスターなど、「英単語→日本語」を覚える本。
ある程度丸暗記が得意な人はこれでもいい。方法は「音読」「赤シート」「単語カード」が適している。
覚えれば急に長文がわかるようになるので、効率は良いし速効性もあるが、単語to単語なので忘れやすいし覚えにくい。
忘れにくさという弱点を克服するためには、回転数(=その単語に触れて思い出す回数)を増やすこと。つまり一日1ページなどというぬるいことではなく、毎日大量のページを回し続けることが必要になる。
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経験談。
私には出る順単語帳は合わなかった。なぜなら「飽きる」上、「忘れる」からである。
出る順単語帳は「考えることが嫌い」な人に向いている。私は申し訳ないが考えることが大好きで常に雑念だらけなので適性が無かった。
しかし、(2)や(4)でなんとなく知っている単語が多い状態で高3を迎えた私は、腹を括って効率を重視し、ターゲットと東進の単語を頭に叩き込んでいった。つまり、知らない単語を覚えるのではなく、知っている単語を確実にするのには向いているのかもしれない。
(2)「長文単語帳」の暗記
速効性:☆★★
手軽さ:☆☆★
覚えやすさ:☆☆★
忘れにくさ:☆☆★
正確な用法:☆☆☆
速読英単語やCORE、BASICのような「長文の中で単語を覚える」本。
のんびりじっくり取り組みたい人に向いている。方法は「音読」「赤シート」が適している。
最大の弱点はすぐに単語が使えるようにならないことだが、その単語がどんな文章のどんな所で使われていたかを覚えることにより「単語に正しいイメージを結びつけることができる」のが最大のポイントである。
この単語帳を最大に生かしたいならとにかく音読あるのみ。ただし、自分のレベルより2段階ほど低い単語帳を選ばないと挫折することになるので注意。
<< 経験談。 中高時代の学校の単語帳が速読英単語だったので4年以上のつきあいがある。正直、自分ではもう買わないだろう。お腹いっぱいである。 あのベートーベンがでてくる文章のあそこのアレだろ?!という風に単語の使われる用途はわかるので、覚えれば結構楽だが、まず長文に向き合う心の余裕が必要なので、受験生には向かず、高1・高2向けだと思う。 (1)よりは単語テストの時も楽だった。ただし、受験に役に立ったかはわからない。
(3)「例文単語帳」の暗記
速効性:☆☆★
手軽さ:☆☆★
覚えやすさ:☆☆☆
忘れにくさ:☆☆☆
正確な用法:☆☆☆
DUO3.0に代表される、「例文ごと覚える」本。
単語だけ覚えても忘れやすいという人に向いている。方法は「音読」と「赤シート」あるいは「答えを隠す」のが良い。
評価だけみると素晴らしいしオススメの単語帳なのだが、問題は「レベルの低い単語帳がない」ことである。Duo Selectは高2以上向けだし、DUO3.0なんて難関大学受験、大学院受験、TOEICレベルである。そのレベルに至ってない者が始めると苦行になる。ただ、それでもやりきれば他の単語帳より遙かに効果があるのは間違いない。
DUOはリスニングCDとセットで使わないと効果が薄くなる。お金をケチるのはやめよう。手で書くと時間のムダなので、とにかく例文を音読して日本語の意味を考える。そして、例文の下に掲載されている単語の意味を個別に考える。これを大量に毎日繰り返すのがよい。
<< 経験談。 TOEICのために2ヶ月ほどみっちり取り組んだら、驚くほど楽になった。DUOは素晴らしい単語帳だった。 ただ、私は元々載っている例文の半分近くの意味がわかる状態だったが、まったくわからない状態だと苦行であろう。しかし、苦行でも続けていたら、単語を忘れないし用法も正確だし二週目以降は楽だったと某高校生は言っていたから一応無理では無い。
(4)既存教科書、問題集、過去問、新聞等
速効性:☆☆☆
手軽さ:☆★★
覚えやすさ:☆☆★
忘れにくさ:☆☆★
正確な用法:☆☆★
特定のテストの出題範囲を覚えたり、英字新聞を購読するというもの。
単語帳形式になっていないので、自分で工夫して覚えやすい形を作ることから始まる(ノートなり単語カードなり単語帳なり)。しかし、長文の中に単語が存在する上、テストで点をとらなければならないという動機が同時に存在するので速効性と用法、覚えやすさが同時にカバーできる。
問題は、覚えなければいけない単語と覚えなくていい単語の区別が難しいということ。自分のレベルとテストのレベルを考えて覚えなければいけない単語が判断できないようなら出る順単語帳も併用しなければならないだろう。
暗記のためには単語を厳選した後、音読など自分にあった方法で行えば良い。
経験談。
私は中高大、大学院も含め、主要なテストではいつもルーズリーフと赤シートを活用して丸暗記してきた。丸暗記は嫌いだがテストのためだ。仕方ない。
大学受験はこちらの方法は向いていなかったが、大学院は法律系の論文と決まっていたので、学ばせてもらった過去問や論文の訳と一緒に全て音読×赤シートで処理した。単語帳?法律系英語論文に限定した単語帳などあるわけない。辞書ならあるが単語帳を売るほどの需要が無い。赤シートでも覚えられないものは音読しながらいらないノートに書き殴って覚えた。というのも、大学院の受験は英文和訳だったため、単語自体を覚えても文章中での用法がわからなければ意味が無かった。文章と訳をセットで覚えなければならなかった。
まあ、そういう特異な試験でなかったら単語だけ書き出してルーズリーフと赤シートで覚えただろう。
最後に。
何か一本急ぎでやるなら私はDUOシリーズを進める。
最初こそ苦行だが、きちんと毎日やりこめばぐっと楽になって目の前が開けてくる。逆に、みんなが持ってるはやりの単語帳を買って満足しているようではいけない。
勉強は常に効率よく集中しておこなうべし。
時間には比例しない。
先に集中×量×質があって、最後に×時間なのである。
例えば。100個×1時間を2回と、20個×10時間を1回なら、圧倒的に前者だろう。時間が短い上、二周もできる。そのときぐっと集中して頑張れば良い。そして空いた時間で盛大にリフレッシュなり他のことをすればいい。