今回は、日能研の夏期講習で配布される3種類のテキストの違いについてお話します。夏期講習のクラス分けはM~Aではなくテキスト名で行われるので、各レベルの間にいるならばどちらのクラスを狙うかも一つの戦略になります。ちなみに、夏期講習中の偏差値別の注意はこちらで去年解説しています。
そもそも発展・応用・標準の違いって?
指導する側は、テキストの名前を聞いて、勉強方法をかえていかなければいけません。
- 発展=最初に解説なし、いきなり過去問がたくさん登場
- 応用=最初に解説なし、過去問ではないが何算などのヒントはなく問題がひたすら並ぶ作り
- 標準=最初に例題があり、例題と同じ類題が並ぶ作り
こうみると一番問題なのは応用なのです。応用はM1~A2の上のほうが含まれるため、おそらく一番多くの子が持っているテキストではないでしょうか?しかし、応用には普段の「考えよう」と似たような例題システムがなく、標準のテキストにしか載っていないので、「文章題(1)」のような単元を開いてみるといきなり大問で何算ともヒントがない問題がでてしまっているのです。つまり、作成している日能研としては、応用クラスの子には、問題をみて何算か自分で考えて解く力を身につけてほしいためにそういう作りにしている?と理解するのが良いのではないでしょうか。
標準テキストの注意点
標準テキストになるということは、普段からA1かA2の下の方であるということです。
なので、基本的に普段とは変わらず、例題通りに演習を解くスタイルなのですが…ここで注意、重大な注意があります!
普段より進むスピードが速いこと!
- 普段=1週間1単元のみ
- 夏期講習=算数がある日は1日2単元、1週間で6~8単元進むことも
普段だと、1単元が1週間2コマで消費されます。そして1単元だけカリテに出ます。しかし、夏期講習では算数がある日は1日に2コマ算数が入っていて、夏期講習中にテストが4回あり、範囲は6単元くらいあることが多いです。
つまり、標準クラスの子だと、やり方は普段と一緒だとしても、圧倒的にスピードと量が追いつかなくて復習しきれないことが多いのです。これが標準テキストの問題点です。標準テキストの問題点というより、標準クラスの子の大変なところ、かもしれませんね…。
標準テキストを上手に使うためには
日能研が予習を禁止している場合、上手に使うためには、とにかく例題と類題だけはやり直しが必要です。
ただ、子供も4コマもやって帰ってくるのですごい大変だし疲れていると思います。だから、帰ってきて復習させるのは大変ですし本人もきっとイヤでしょう…。それでも、どこかでなにかやらなければいけません。たくさんやらせるのではなく、とにかく例題と類題だけはやり直しをしてできるかどうかを確認しなければいけません。
標準クラスの場合、1単元に時間をかけすぎると最後までいけなくなってしまうので、例題と類題だけはと決めて頑張ることも大切だと思います。
ただ、そもそも効率よく勉強できるようにしたらいいんじゃないか、というのもあります。そこはまた別の記事で書きましょう…
応用テキストの注意点
お話した通り、応用テキストでは解説がなくいきなり問題からはじまります。授業中には全ての問題が扱われることはない可能性が高いです。先生も時間を見て扱ったり扱わなかったりするものがでてきます。
できなかった問題は以下の様な手順で確認していきます。
この問題はどの単元の問題か?(例:流水算)
↓
この単元はどう解けばよい?(例:川の速さを考慮して足したり引いたりする)
↓
じゃあこの問題で見るとどうすればよい?(例:速さがわからないので、上りと下りの差から求める)
↓
実際に計算
↓
設問が聞いている答えと同じものをかけたか確認(例:船の速さといっているのに川の速さを書いたりしていないか?)
最初の単元をこたえるところができなければ次はできません。中学数学とちがって、なんでもXとおいてとりあえず関係を式にすればいいのとは違い、ナントカ算別に解法があるからです。
ナントカ算がわからない場合は、本科で復習してもいいですが、ぱっとわかりやすいのはやはり定番のベストチェックでしょう。私なら、応用テキストを開いて、これはどの算と似ているかなとめくって探します(実際は既に○○算とわかっているけれども、生徒とやるときはそうやります。ベストチェックの文章題のところを探してもらって、例をみてどの問題と似ていると思う?と誘導します)。
応用テキストを上手に使うためには?
応用テキストを使っているということは、それなりにできるはずなので、初見で自力で解けた問題には番号の横に○を書いておき、余計な労力を使わないようにしましょう。できる問題も全て解き直していたら時間がありません。
発展テキストの注意点
この情報を必要としている人は日能研の中でも全体のちょっとだし需要があるかわからんですが、一応簡単に書いておきましょう…
発展ということはもう公開模試で100点がとれるのが普通の人だと思います。ならば、難しい問題をどう解くのかが大切なはずです。どうせ問題は難問ばかりで心を折ってきます。ですから、もう大学受験の数学と同じやり方で、解き方の糸口やひらめきを確認することが一番重要です。こちらの記事の「解く前に、その問題の解き方を想像するという方法」を確認してください。この方法は標準レベルの子にはやらせないでください。なぜなら、標準レベルの子は方法がわかって満足してできる気になると計算ミスを過小評価します。「いまのは計算ミスだから!できないわけじゃない」などと言い出しますので気をつけてください(何度このセリフを聞いてきたことか…)。
ああっ長くなってしまいました。次の記事ではクラス分けに大切な公開模試の対策をご紹介します。