前回、国語力とは?を考えた時、たくさんの力に分けて考えることができると書きました。
例えば、
語彙力
読解力
論理力
共感力
推測力
という風にです。
今回は、前回に続いて、読解力について書いていきたいと思います。
客観的に測る「読解力」=指示語
先生たちから見て、客観的に「読解力」を測ることは簡単です。
国語の読解問題、文章問題の点数を見ればよいのです。
さらに、その中でもこれができていない子はわかってないなとわかるものがあります。
指示語
の問題です。
指示語の問題のポイント
指示語の問題は、とてもシンプルに言えば
「下線部2の それ が指す言葉を10文字以内で文中から抜き出しなさい」
のような問題です。
つまり、読解力とは、読み解く力、
人が「何について話しているのか」
「何を指し示しているのか」
そういった部分に気付くことができる力を指します。
この力は、説明的文章や論理的な文章、そして随筆では必須の力になります。
なぜなら、日本語の文化として、
同じ言葉を何度も同じ表現で繰り返すのは語彙力がないバカっぽい文章
と思われるというものがあるので(英語にもあります。ドイツ語はそういう感覚が薄い気がする)、
指示語や同義語を用いて多彩な言い換えが行われるのです。
A=A’であることを理解する力こそ、読解力なのです。
指示語問題を練習しよう
一応児童用から問題を作ってみました。
ここに茶わんが一つあります。中には熱い湯がいっぱいはいっております。ただそれだけではなんのおもしろみもなく不思議もないようですが、よく気をつけて見ていると、だんだんにいろいろの微細なことが目につき、さまざまの疑問が起こって来るはずです。ただ一ぱいのこの湯でも、自然の現象を観察し研究することの好きな人には、なかなかおもしろい見物みものです。
第一に、湯の面からは白い湯げが立っています。これはいうまでもなく、熱い水蒸気が冷えて、小さな滴になったのが無数に群がっているので、ちょうど雲や霧と同じようなものです。この茶わんを、縁側の日向ひなたへ持ち出して、日光を湯げにあて、向こう側に黒い布でもおいてすかして見ると、滴の、粒の大きいのはちらちらと目に見えます。場合により、粒があまり大きくないときには、日光にすかして見ると、湯げの中に、虹にじのような、赤や青の色がついています。これは白い薄雲が月にかかったときに見えるのと似たようなものです。この色についてはお話しすることがどっさりありますが、それはまたいつか別のときにしましょう。
寺田寅彦『茶わんの湯』より
例えば。
「これは白い薄雲が月にかかったときに見えるのと似たようなものです」とありますが、
「これ」とはなんでしょうか?何を指しているのでしょうか?
指示語問題ではまず前後を確認せよ
指示語問題は、答えが既に前に出ている場合がほとんどです。
今回も、前に長い表現があって、次に言い換えて「これ」と言っているのです。
今回のこれはの「は」はイコールですから、
これ=白い薄雲が月にかかったときに見えるのと似たようなもの
となります。
ならば、「白い薄雲が月にかかったときに見えるのと似たようなもの」はなんなのかを考えてみましょう。
直前に、「日光にすかして見ると、湯げの中に、虹にじのような、赤や青の色がついています」とあります。
これですね。
つまり、「これ」とは、湯気を日光に透かした時に見える虹のような色のついたもののことです。
決して虹そのものではないというところを、解答するときに気をつけるよう指導してください。
特にめんどくさがりで読み飛ばす男子は単語だけ書くクセがありますのでご注意を。
前回記事:漢字の書きと語彙力