人間は忘れる生き物ですが、「いつ復習すれば忘れにくくなる」と言われているかご存じでしょうか?
塾業界の定説「エビングハウスの忘却曲線」
もう自分は聞き飽きてしまった言葉でもあるのですが、エビングハウスの忘却曲線とは、覚えたものを一日後、一週間後、一ヶ月後などにどれくらい覚えていられるのかという数値をグラフにしたものです(詳細はこちらへ)。これによれば、
20分後に42%、1時間後に56%、1日後に74%、1週間後77%、1ケ月後79%が忘れてしまう
つまり、一時間後には半分を、一日後には7割を忘れてしまうのです。「復習はその日のうちに」という根拠はここにあったのです。ちなみに、一日経ってしまうとその後一ヶ月後まで大して変わりはないとグラフでは示されていますが、流石に体感として一週間前と同じ単語テストをやった場合と一ヶ月前と同じ単語テストをやった場合では一週間前のほうが記憶に残っているのは当然ですから、このグラフをどこまで信じて良いかは少々悩み所ではあります。
だが、「エビングハウスの忘却曲線」が全てじゃない
ところで、「エビングハウスの忘却曲線」の実験では、無意味な音節を暗記することで実験を行っています。つまり、たとえて言えば、数字の羅列を暗記するような無意味な文字列の暗記を行っています。ですから、英単語やエピソード記憶のような意味のある内容の暗記にまでエビングハウスが100%ぴったり適用できるのかといえばそれはイエスとは言えないはずなのです。(→こちらのサイトでも同じ事を述べています。)
ではどんな記憶・復習方法が良いのか?
まず、記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があることを知っておきましょう。
「短期記憶」は、その場でぱっと覚えてすぐ忘れるものです。記憶容量に限界があり、新しいものを入れるために古いものを忘れていくスタイルをとります。臨時の貯蔵庫に置かれているものと思えば簡単です。数分から数十分で忘れられるとも言われますが、もっと記憶していることもあります。
「長期記憶」とは、「短期記憶」が海馬を通して長期記憶貯蔵へと移動させられたものです。これは、容量に制限がなく、忘却しない限り死ぬまで覚え続けていると言われています。ここで言う「忘却」とは、実際は覚えているけれども思い出すキーワードを忘れてしまって取り出せなくなったりなど、短期記憶を忘れることとは異なるようです。小さい頃の思い出や一般常識、歴史上の事実などはこちらに分類されます。
「短期記憶」を「長期記憶」に変える!
忘却曲線では「短期記憶」についてしか触れられていませんから、「長期記憶」に変えればより忘れにくくなることは自明です。では、「長期記憶」にするにはどうすればよいのでしょうか?これについては次回詳しく解説します。