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今日は昔から色々言われているテーマである、何時間勉強すれば良いのかというお話をしたいと思います。
昔から、学校の先生は「夏休みは一日8時間勉強しろ。10時間やっても死にはしない。勉強しすぎても死ぬことはない。ご飯と風呂と睡眠以外は勉強しろ」とよく言いますが、ずっと疑問でした。本当にそんなことをしなければいけないのだろうか?と。
さて、みなさんに質問です。勉強を始めて、例えば3時間経ったとします。
その時、「ああこんなに勉強したなあ!」と思いますか?それとも、「3時間もかけたのにこれしか進んでないなあ!?」と思いますか?
「たくさん勉強したなあ!」と満足してしまうタイプ
これはよく勉強していた生徒本人から聞いた話です。
彼女は、その時の勉強が全然進まなくても何時間勉強したという数字のことを考えると、「ふう!今日はいっぱい勉強したなあ♪」と満足してしまうそうで、なるべく時間は記録しないようにしていたそうです。だから、今日は何時までやるぞではなく、「ここまでやるぞ!」という風にセットしておくことが大切なのだと言っていました。
「時間たくさんやっていると、頑張ったぞ☆えへ、みたいな気持ちになっちゃうんです。全然進んでなかったとしてもです。だから時間じゃなくてやった量で考えるようにしてます」と。
これを聞いて目から鱗でした。
「こんなに時間をかけたのにこれしか進んでない」と凹むタイプ
私はめんどくさがりで効率主義なので、「こんなにかかったのにこれしか進んでない~!?」と思ってしまうタイプです。もちろん、他人や生徒にはそういうことは思いませんが、自分の勉強や仕事についてはそう考えます。
なぜなら、同じ量が1時間で終わっていたら2時間遊べたからです(笑)そういう考えなのは、おとなになっても日能研生のころから変わっていません。
このタイプの場合、時間を記録するとなお凹むので、やはり量で記録することが大切になります。論文や宿題をやっていたころは、これが終わるまで絶対に寝ない、と決めて作業をしていました。
また、集中するとすぐ数時間経つので、時間はまったく参考になりませんでした。集中しているときの1時間と、眠気と戦っているときの1時間では生産性が違うからです。
寝て朝起きてやればいいというスタイルの人もいましたが、私は「締切で管理する派」だったので、やはり終わるまで寝ない、のほうが向いていました。
8時間勉強しなさいという表現はどこからくるのか?
いまだによくわかりませんが、8時間といえば、(理想的な一日の)労働時間ですよね。つまり、大人の仕事は労働、子供の仕事は勉強というわけです。だから一日8時間勉強しろ、大人が仕事をするように子供は勉強をしろという意味なのではないかと私は勝手に解釈しています。
だから、8時間という数字には根拠はないと思っています。
この間もとある調査結果で、習い事をたくさんやっている裕福な家の子供は一日30分未満の勉強しかしていないのに、一日3時間も勉強していた貧しい家の子供にテストの成績で勝っていました。
調査分析では、おそらく習い事のほうでいろいろな効率の良いやり方や考え方を身に着けた結果、要領よく成績をとることができたのではないかとありました。ただ勉強時間を積めば良いわけではないことがこれによって明らかにされています。勉強時間だけでは勝つことはできないのです。
以前、天才とただ才能がある人の違いについて記事を書きました。努力は当然必要なのですが、天才はそれをヒョイっと超えていきます。だって、天才が努力していないなんて一言も言っていません。これは、努力していない天才と努力した凡人の二択ではなく、本当はどこかで努力をしている天才と、血の滲むような努力をしている凡人かの二択なのです。
色々書きましたが、まず、8時間の8には絶対的な根拠がないということは確実だと思います。
実は、寝る間も惜しんで勉強している人は時間を測っていないことが多い
10時間でも足りないとか、食事睡眠風呂以外は勉強しろという先生方は、もしかして学者や研究者、東大合格者、司法試験合格者の勉強時間を引用して言っているのでしょうか?
確かに学者や研究者は寝る間も惜しんで論文書いていたり、東大合格者は計画的に勉強に打ち込んでいたり、司法試験合格者は歩きながら音読していたりもします。しかし、
彼らは勉強時間が先にあってその行動をしているのではなく、こうしようという行動をとった結果として勉強時間が長くなっただけなのです。
どういうことかというと、卵料理を作ろうとしてオムライスを作ったのではなく、オムライスが好きでオムライスばかり作っていたから結果として卵料理ばかり食べていたということなのです。
何時間勉強すれば偏差値が上がりますか?という質問をよく受けますが、時間ではないのです。
こういうレベルの問題をこういう風にできるようにしたら偏差値はいくつくらいになります、というのが正しい理解なのです。
では、そのレベルまでたどり着くのに何時間必要ですか?と聞かれても、個人によるとしか言えません。だから自分専用の記録を作りましょう。
まずは、ある一単元で平均点をとるのにかかる大体の勉強時間、満点近くとるのには何時間かかるか、など自分で色々試してみるのが良いです。
私が小学生の頃の勉強時間について
ちなみに私が小学生の頃は、現在のMクラスにあたる栄冠組にいましたが、クラスのみんなの頭が良すぎてカリテで席順を争うのは無理でした(うちの校舎は成績順で前からという席替え方式でした)。
どんなにカリテで頑張っても上がいました。なにせ、開成日特に行っている、全国模試の表彰の常連がいるのです。授業中は先生に話しかけてばかりで休み時間も遊びまくっている彼がなぜ全国3~11位なのか…それはおそらく頭の構造の違いが大きいのだと思います。なぜ彼らはいつもカリテで10段階9か10ばかりなのでしょうか?たまには苦手な分野もあるでしょうけど…うーん怖い。
そこで、私は、
- これくらいやり込むと社会のカリテで10段階8がとれる
- これくらいできるようにしておくと算数で110点を切らない
- これくらいまで最低限おさえておけば理科で50点を切らない
など、ある程度、網羅する範囲を把握するようにしていました。
みなさんも、水道の蛇口をひねるとき、どれくらいの力でひねればどれくらい水が出るかわかりますよね。時々やりすぎてすごいことになりますが、それと同じです。
勉強も、どれくらいの範囲を網羅して、どれくらいの時間をかけてやれば、どういう結果になるのか。
自分専用のそれを記録して、次に活かすことが大切だと思います。