今回は、親が書いて覚える派で子供が解いて覚える派という、暗記方法が異なる親子の例をご紹介します。前回、先生たちの勉強方法をヒアリングで調べまわった結果、色々やり方があることをご紹介しました。また、赤シートでノートをどのように作れば良いかもご紹介しました。人によって自分にあった覚え方は違うので、親が得意だったからといって子も得意とは限りません。その子にあった勉強方法を一緒に試行錯誤していくことが大切だと私は思います。
親「とにかく書いて写す」vs 子「解いて覚える」
ある親御さんはご両親ともに暗記は得意な方で、板書は全て写すのがよく、覚えるには写して覚えるのがよいと思っていました。覚えられないものは何度でも書いて自然と出てくるまで叩き込んで覚える。暗記が得意なやる気のある根性のある人の理論です。ご自身もそれで乗り切ってこられたのですが、子供はノートを書くのが好きではないようです。
一方子供は、問題を解くのが好きなようです。答えを探して埋める作業がとても好きでした。問題を解いて覚えるというのが合っていたのでしょう。問題を沢山やるのは嫌いではないようですが、とにかく書いて写すとか、ノートをとるという行動はつまらなくてやりたくないようでした。
親からみれば、子供はやる気が無いだけ、わがままを言っているだけに見えました。ノートをとらずして勉強は始まらないし、書き写さずして頭には入らないと思ってらっしゃるからです。しかし、子供の方は、得意でできるものは決してノートをとったからでも写したからでもありませんでした。どういう理由でここがこういう答えになるのだとわかっているから答えられるし、問題で解いたことがあって知っていたからできるのでした。「よく知ってるね?」と聞くと、「だって5年生のときに習って、こないだもプリントで出てきた!」といつ習ったかも覚えていることがありました。
伝統的定番「書いて写して覚える」
ちょっと前、頭がよくなる 青ペン書きなぐり勉強法という本が流行りました。この話を先生たちの間ですると、あーいたわそういう子、とか、自分はそうだったとか、色々聞けました。要するに、書いて書いて書いていくうちに頭に記憶に残るから覚えるというシンプルな正攻法なのです。
ちなみに青ペンの効果は、青という色が記憶に残りやすいという意味によるものだとおもいます。なお、私は青ペンならSARASAの0.5をおすすめします。後で説明するように腱鞘炎にならないようにするためです。
書いて写して覚えるが嫌な人もいる
理由はいくつかありますが、以下をチェックしてみてください。
- もともと書くのが遅いので、たくさん書くだけで時間を食われてしまうから(某生徒N談)
- ペンの持ち方が正しくないので、すぐ手が痛くなってしまうから(某生徒M談)
- 自分の字を見ると下手すぎて萎えるからできるだけ書きたくない(某生徒K談)
- 筆圧が濃くて手が汚れるから(某先生A談)
- わかっている内容のノートを写すという作業が退屈で飽きるから(某生徒H談)
きっと書いて写す派の方からすれば、上のいくつかの言い訳は、気合が足りないと思われることでしょう…。しかし、世の中気合というのは最初に発揮するものではなく、最後に乗り切るために使うものなのです。ですから、最初から合わない方法で気合を使いまくってもいかがなものでしょうか…?
書きたくない子を書けるようにする方法
上の退屈といった子以外の場合は多少方法があります。
書くのが遅い→持ち方、テクニックで工夫することでスピードアップすれば書ける
持ち方で痛くなる→持ち方を矯正すればよい
字が下手→ペン字練習帳をやる!(=私は大学受験に合格した高校生男子に必ずペン字練習帳をすすめています…)
筆圧が濃い=安い万年筆(パイロット 万年筆カクノ)を導入して筆圧を下げる
筆圧が濃くて手が汚れる=2BなどBをやめ、HBやHにする
万年筆は紙につけるだけでインクがでるものですから筆圧は逆にいりません。万年筆を使うことで筆圧が下がり、Hの芯を使っていたのがBの芯で十分になったという例もあります。…私です。
万年筆はもちろん高いものはいいものですが、パイロット のカクノは1000円程度で購入できる子供向けの万年筆です。そしてその割に作りも良い。最初は苦労するかもしれませんが、筆圧でお悩みなら是非そうしてみてください。中字がいいか細字がよいかは試し書きをしたほうがよいとおもいます。普段字が小さい人は細字のほうがよいです。
書いて写して覚える方法の最大の敵:腱鞘炎
私もなったことがありますが、腱鞘炎は最大の敵です。某教授も昔、博士入試のために単語を書きなぐっていたら腱鞘炎になったそうです。腱鞘炎になると、気合で乗り切れとかそういう問題ではなくなります。私の場合は、服を着替えるだけで激痛が走るほどでしたので注射を打って治しました…
腱鞘炎を防止するためには
- 手に力を入れないようにする(筆圧を下げる)
- 手に負担がかからないペンを選ぶ(ラバーグリップつきで軽いものを選ぶ)
- 手を冷やさないようにアームカバーを活用する
などが挙げられます。
まとめ
- 自分がこの方法でできたからといって、子供も同じ方法が合うとは限らないということを頭においておくこと。
- 世の中には沢山の暗記方法があること。
- 書きたいけど書けない場合は気合が足りないのではなく、筆圧や持ち方の面からのアプローチもあるということ。