国語の具体的な勉強方法を教えてくれない先生が多いのはなぜ?

国語の具体的な勉強方法を教えるのは本当に難しい。

後輩も、国語の指導方法に困って教材を漁ったが、良い教材がなかなか無く、むしろそれで教材開発に興味を持ってしまったと言っていた。

なぜ、国語の勉強方法を教えるのは難しいのだろう。

事情1 国語の先生は国語が好き

国語の先生は、国語が好きだ。当たり前かもしれないがそうだ。

例えば、うちの母校(進学校)には、院卒の国語教師がいた。
彼女は国語が大好きだった。大学院の修士論文は、源氏物語だったそうで、国語でも特に古文を専門としていた。

このように、昔から国語が好きで、国語の先生になっている人は多い。
そういう人ほど、国語が好きで国語ができるので、国語が嫌いでできない子の気持ちはなかなかわからないし、教えるのも大変なんだ…。

さて、うちの母校には別の国語の先生がいた。出身は教育学部だが、国語の教師だった。
ところが、上で述べた先生と比べると、古文も現代文もかなり論理的に指導してきた。

特に古文は厳しかった…。品詞分解にうるさく、間違えると徹底的に根拠を追求された。
上の先生のように専門知識にあふれていたわけではなかったが、院卒が増える中、ばりばり仕事をしていたし、生徒からの信頼も厚かった。

なぜ先生は国語の先生になろうと思ったのかは知らない。
ただ、この先生が国語を持ってくれた学年のときは、成績がよかった。ようするに、解説がわかりやすかった。
現代文も、これとこれを足して、こういう結果にたどり着いたのだという風に、→を多く活用して上手に黒板をまとめていた。
先生の黒板を写したノートは、自分の書き方が雑で全部は写していなかったが、論理構造がわかりやすく、後から見ても理解しやすかった。

余談:文学部の教員免許のとりやすさについて

この間、社会系学部に合格して大学生になった子が、親に「教師になる予定がなくてもとにかく教員免許をとりなさい。教職を履修しなさい。安心だから」と言われて、必死に説明したがわかってもらえなかったそうだ。
親は、英文学科卒、教員免許所持。
万が一娘が就職に困ったら、教員免許で教師になればいいと思っていたそうだ。

……実は、文学部は授業の単位に教職が重なっていることもあるので、圧倒的にとりやすい。
しかし、例えば、私は法学部卒だが、法学部では教職の単位が一切卒業要件に入らない。
教職を履修するということは、卒業要件外の単位を大量にとるということになる。だから、みんなできればとりたくない。

上に挙げた大学生もそうで、卒業要件に含まれないからとりたくないのだが、親が自分の常識(文学部)で語るので、納得してくれないと。
長いつきあいのある家なので、娘に頼まれて親に事情を説明した。やはり、親御さんは卒業要件に含まれていたからとるのが楽だったらしい。
最終的に、文化の違いを理解して親が納得してくれたとのことだが、改めて学部間の違いを思い知ったのだった。

真髄:わからなかったのを克服した先生ほど、わかりやすい説明ができることが多い

公民が大嫌いだった公民の先生の話

さて、うちの母校のとある社会の先生は、「俺は昔、公民が大嫌いだった」という。
だが、一念発起して公民を勉強して、社会の先生になった。

だから、彼は公民分野の説明が非常にわかりやすく、生徒も彼の授業は起きていてまじめにきいた。
※他の公民の先生の授業はどうしてもテキスト音読のようになりがちでつまらなかった。

彼が言うには、「苦手だったから、苦手なやつの気持ちもわかるし、どこがわからないのかわかる」とのことだった。

ちなみに、受験学年において、彼の担当したクラスと他のクラスとで平均点が15点以上差がついてしまい、保護者からクレームが入った。
他のクラスは彼のクラスからプリントをコピーしてもらおうとまでした。
翌年は彼が合同授業で全クラスを担当するという大変な事件も起きた。

だが、それでも彼は、「倫理ができないやつは俺のところにこい。必ず政治経済で全国平均以上とらせてやる」と啖呵を切って自ら大変な目に遭った(笑)
彼は生徒たちのために、分厚いクリアファイル4冊分にもなるほどのプリントを作成し、毎回授業終了時に小テストも行った。すごかった。
生徒たちはそんな彼のためにもがんばった。そして見事に全国平均以上をとり、彼もほっとした。

…私は高校時代物理が非常に苦手だったが、今、高校生が教科書をもってくると、なんとか彼らよりはマシな説明ができる。
なんとなくわかっているからではなくて、自分ができないし苦手なのがわかっているからちゃんと説明を読む。
わからない子相手にはどこをかみ砕いて説明しなければならないかわかる。

自分もそうだったから。

天才バイオリニストの話

とある先輩は、高校生のとき、一人で結婚式でバイオリンを弾くくらい上手で、芸大にも現役で合格した。
しかし、先輩は教えるのは下手だったので、後輩からは教わりたいとはいわれなかった。

それも当然だった。先輩は、人間チューナーと呼ばれていて、機械がなくても正しい音がわかる耳をもっていたし調律もぴったりだった。
3歳からバイオリンを弾き続けてきたので、指が回るのが当たり前だった。
先輩に聞いても、なんとかなるよ!とか、そういうものだよ!とか、練習すればできるようになるよ!で終了してしまう。

みんなは、どうやって練習すれば効果的かを知りたかったが、

長年、才能×気合いでなんとかしてきてしまった人の方法は参考にならなかった。

事情2 出題者は、両方に読めるものを出すと後で悪問と言われてしまうので、しっかりと論理的な根拠のある部分を出題してくる。

特にセンター試験では、出題者は、

こっちの答えだってありうるじゃないか!

とバッシングされることを一番恐れている。

私大のほうは開き直っているけれども、基本的には論理的に根拠が導き出せるものを問題に選んでいるはずなので、根拠を探せばいい。

そこで必要なのは、消去法。前も説明した通り、選択肢の一部分があっているかどうかを問題文から探し出して、○×をつけて判断する。
これができていれば、さいご二択まで絞り込めることが多い。

次で詳しく話すけれども、文章の筆者と出題者は違うとハッキリと区別することが大切だということを述べておこう。

事情3 理論的な国語、論理的な解法はずるいと勘違いされている。

変な話だが、「中身はよくわからないがここにこれがあるから反対のことを言ってると思った」、と話すと、「せこい!」「正しく理解できていない!」と言う大人が多い。
それはおそらく子供の頃に、「筆者の気持ちを考えてみましょう」などと教わるのが問題なのだと思う。

筆者と出題者は違うということを強く意識せよ

物語文なら、登場人物の気持ちを考えてみましょう、はまだわかる。
だが、説明文でなにが筆者の気持ちだ。それをいうなら「出題者の狙いを考えてみましょう」だろう、とおもう。
ちなみに、センター試験に採用されたとある文章の筆者は、自分でも満点は解けないと思っているそうだ。

つまり、まず、筆者と出題者は違うとハッキリと区別することが大切なのだ。

出題者の作問方法を把握せよ

出題者はバッシングを恐れるので、根拠のあるものを問題にしてくる。
根拠とはどのようなものか?理論的に納得いくもので、論理的に導き出せるもののはずだ。

理論的に納得がいくもの、国語の理論(セオリー)とはどんなものだろうか?
文章はこのように構成されることが多い。ルールはこのようなルールがある。こうするのが暗黙の了解だ、といったようなものだ。
例えば、体言止めとか、本当は基本ルールからはずれているけれども、例外的な文法が存在する。

では、論理的、ロジカルな解法とは?
AゆえにBであれば、AとBは因果関係にあるとか、そういう論理構造に注目した解法のことだ。
理論の一部分を構成すると思う。これを使うことで、難解な文章もわかりやすくなる。高校現代文ではそれを身につけないと難関大学の国語が解けなくなる。

「筆者の気持ちを考えよ」の正しい解き方

さて、いわゆる「筆者の気持ち」はフィーリングで読み取れるときもあるが、文体が合わなかったり、背景事情を理解していないとさっぱり伝わってこなかったりする。
誰にでも伝わる文章をかく、誰にでも同じ主張に聞こえるようにきちんとした文を書くとは、どのようなことなのだろうか。

私の恩師(教授)は、「徒然なるままに書くな。きちんと構造を考えて書け」と言っていた。

徒然なるまま…とは、日記を書くようにつらつらと思いついた通りに書くということを言いたいのだと思う(この記事はつらつら書きながら構造を考えているので、日記と論文の間、ブログです!)。
だれがよんでも同じように理解してもらうためには、まず文章全体の構造を考え、細かい部分の主張の順番を考える。
そうでないと、反対のことを言っているように読まれてしまう可能性もある。

そこを利用して、読む側の場合は、一文一文の細かいところではなく、構造から理解して、その論理をみてから中身を理解していく。
問題を出す側は構造と論理に答えの根拠を設定するから、問題を解く側もそこを意識するほうがよい。
あいまいな「筆者の気持ち」という表現にまどわされてはいけないと思う。
これが登場人物の気持ちだったらずいぶん違うんですがね。これについてはまた別の機会にでも。

国語の論理トレーニング教材

高校生用の参考書なら、やっぱりシステム現代文。論理構造をしっかり学べる。

小学生用の国語の参考書って、ベストチェックくらいしか…

論理を勉強したい人は、こういうのはいかがでしょうか?13歳ってあるけど実際は中身はかなり実践的です。13歳でもわかるように例や言葉がわかりやすいです。こないだ高校1年生にやらせたらボロボロで、買わせようかなと思いました(私は自分用に持ってます)。

本気で論理を勉強したい人、上の13歳~ではとても簡単すぎるという人にはこちら。野矢先生の論理トレーニング。

ちなみに、私は教授にいわれてこれを修士1年のときに読んだら難しくてつらかったです。それで13歳のほうを買ってからこちらに挑みました…。
あっ、東大合格者を多数輩出する某首都圏御三家(●光さん)の男子校の高3の授業で使っていたそうですよ?!
いやー教授もびっくりしていました。自分が院生に読めといっている本がまさか息子の高校の現代文の授業で使われているとは、と。