大学付属に入れればエスカレーターだから将来安泰、な~んて思っていませんか。そんなことはありません。将来安泰なのは半分より上の子だけです。
下半分に入ってしまうと安泰なんてことはありません。
むしろとある親御さんは「付属に入れずに中高一貫に入れたほうがよかった」と後悔する始末です。何が起きているのでしょうか?
大学付属は進級・進学の成績判定が厳しい
普通の中高一貫=赤点の10段階3以下が沢山あったり、出席日数が足りなかったりしない限りは高校に上がれます。進級も同様です。
240人くらいいてもそういう問題になるのは10人程度でしょう。
しかし、大学付属でも特に高校からの入学がある場合は厳しくなっています。
大学付属のうち高校からの入学がある場合は6/10以上を心がけよ!
例えば、明大付属中野では、中3の3月の期末までを平均して10段階で総合5.6ないと高校に入れません。
外部からの入学者がいるため、3/10では高校の授業についていけなくなるからというのもありますし、5.6をきる子を高校に入れても、大学進学実績が落ちるだけだからこの段階で切ってしまおうという内情もあります。
そういうわけで、付属に入ったから安心なんて思っていると、油断すると高校進学の危機だったり大学進学の危機だったりが訪れてしまいます。
私は実際危機に直面した付属の生徒さんと親御さんを何件も担当してきました。
冒頭の親御さんは、子供が油断しないためにも中高一貫に入れればよかったと後から後悔しましたし(下のきょうだいも付属に入れた後だったのでさらなるW後悔が…)、子供はなんとなく大学いけるだろうという感じで(苦笑)、危機感がありませんでした。
ちなみに、日大付属のお兄ちゃんを持つ妹(妹も付属)というケースが知り合いに2件ありましたが、どちらも妹のほうが真面目で努力家でした…。偏見ではありますが、付属兄妹の兄は甘えん坊でやる気がないケースが多いなあと…。
5.6をとるのは余裕だろうという思い込み
さて!5.6なんて普通は余裕だろって誰もが思うかもしれませんが…。
例えば明大中野の例ですと、第一志望で合格して入ってみると、周りは早稲田・慶応落ちがゴロゴロいて自信を喪失します。入学直後の平均点も、早稲田落ちが悔しくて頑張るので高くなります。
一方第一志望組は入れて安心してしまうので頑張らず、スタートダッシュの時点で大きな差がつきます…。
だから、自分が学校の中で上のほうなのか平均なのか下の方なのかで5.6が余裕かどうかは大きく変わるのです。
それでも7くらいとれるだろ!と思う方もいらっしゃるかもしれません…。では想像してみてください。極端な話ですが、会社の自分の部署で、旧帝大卒か海外の名門大卒、院卒やMBA取得者もゴロゴロいて、英語がペラペラなだけでなく別言語も喋れるバイリンガルまで、さらには家柄がとっても良い人や開業医の子息までいたりするとしましょう。そのなかでの「平均」「普通」とは一体どんな程度なのでしょうか…?入れた自分って才能じゃなくて運が良かったのかもって凹んだりしませんか…?
学習院付属~努力しても上には上がいることを思い知る~
ちなみに学習院女子に帰国で入学したとある女の子の場合、四科受験ではなかったので入った後、みんなと学力の差がありすぎてへこんだみたいです。自分はできないから、って。帰国なのもあって運が良かったのかもって。
それでも努力はして良き成績(10段階8くらい)を積み上げていましたが、それでも、小論文コンテスト優勝者とか(学習院は伝統的に小論文強いです)、スポーツで賞をとっているのに成績もとても良い子と自分を比べて凹みました。さらに、高校で留学して帰ってきた子がいると、小学生で帰国した自分と比較してしまって凹んでいました。そして周囲は医者の子供や社長の娘がおり、サラリーマンの子供は若干肩身が狭い思いをしていたそうです。
彼女は親がそのままエスカレーターで上にあがることを望んでも、自ら努力を積み上げて一緒に頑張って上智に入りましたけれども、その理由は、自分で努力して自力でどこかに入れたという自信を身につけたかったのもあったのです。
内部進学は成績順
例えば、聖心女子は大学の学部が少ないので第3希望まで、学習院女子は学習院と学習院女子を合計して第10希望まで、中央付属山手(いまは横浜にないのでただの山手になったそう)も10希望まで出せます。しかし、どの付属でも進学は当然「上から順番に採用」です。
学習院や明治では、外部の国公立や早慶上智を受験する人を歓迎していますから、内部進学の枠をキープしたままで外部を受験することが可能です。外部に合格すれば内部を蹴ることが可能なのです。安心して外を受けることができます。それゆえ、学習院では成績をキープして内部進学に活かすだけでなく、自己推薦(AO)にも活用することで併用している人が多く見られるようです。
しかし、聖心女子では学生を逃さないために、外部を受けるなら内進枠を取り消すという制度を導入しています。これにより、小学校から聖心女子に通う温室育ちの才女たちは大学受験失敗を恐れて内部進学を選択することが多いです。もったいないことです…。ですから、付属を受けるときは、外部受験をするときに内部進学枠をキープしたまま受けられるのかも一応確認しておいたほうがよいでしょう。
進学ギリギリだと合わない学科のことも…
また明大の例ですが、明大明治では98%くらいが明治大学に進学できる成績だそうですが、明大中野では半分程度だそうです。ギリギリというのは、明大中野で6.5/10くらいのことを指します。
とある少年は人気のなさそうな学科を書いたところ合格したものの、入ってみて合わなかったので結局大学をやめたそうです。これを聞いた、内部進学が怪しい子の親御さんが苦しんでいました。とにかく大学に入ればと思っていたけど、入ってみてあわなくてやめられるのは困るし、ということです。
学部にこだわりすぎて進学できなかったケースも…
今度は中大付属のケースです。高3で中央大学に希望を出したとある中央附属の高校生のうち、2人だけが進学できなかったそうです。
中大の場合、法学部と総合政策学部が人気で、特に法学部法律学科は成績上位者が狙います。第10志望までかけるものの、興味が無いからという理由で上記のような人気学部しか書かなかった結果ではないかと、学校関係者も私も推測しています。
ちなみにその年の進学実績を見ると、経済学部の枠が余っていました。経済学部を書いていれば大学に合格できたでしょう、しかし…経済学をやりたくなかったら…うーん…。
ちなみに、中央付属のとある生徒は、上のようなヤバイ話を踏まえて、とにかく大学に進学できるように一生懸命作戦を考えた結果、第三志望の学科に入ることができました。
内部進学こそ、動機を明確に、やる気をキープせよ!
とある少年のケース
この記事の少年です。彼はいろんなことに興味がありましたが、成績が伴わないので、親も自分もいろいろムリだと思っていました。そして、親が管理しすぎる・干渉しすぎるので、やる気をなくしていました。そこで、塾と学校は、お母さんに息子のことに口を出さない方向でいきましょうと声をかけていきました。お母さんも本当にストレスがたまったようですが、最近はとても穏やかなようです。うるさくいわないほうが息子が勝手にやるということに気付いたそうです。
最近、彼に「お母さんどう?」と聞くと、「あまり何も言わないです」といいます。ああお母さん頑張ってるんだなあ、と思います。きっと言いたくて仕方がないのでしょうけれども耐えてるのだと思います。
彼は最近、自分で「7をとりたい」とはっきり言い出しました。その理由は、「大学に入るのに必要だから」といいます。さっきの記事は2015年に書いているので(※この記事も2016年に書いたものです)、ああ、いま彼は成長したなあと思うのです。彼の頭のなかでは、お母さんの支配から解放されて、自分がやってみたいことのために自分で努力をするという段階に来ているのだと思います。是非頑張って欲しいです。
とある少女のケース
彼女は高3になったけど何がやりたいかわかりませんでした。付属大学に上がりたい気持ちもそんなになかったですし、何がやりたいかもわからない。なので、親はとにかく進学してとにかく就職できるように、就職率の良い女子大にでも入ってもらえればと言っていました。親は娘のやりたいことがわからなかったし、得意な方向性もよくわからなかったのです。とりあえず食いっぱぐれなければいいと。
まず、彼女には「すきなものを20コかく」という宿題、「夢の女子大生ライフ」という作文課題、「夢の25歳(就職3年目)のわたし」という恥ずかしい作文課題をこなしてもらいました。本人も怯えながら書いていました(笑)そうして書き出しているうちに、彼女は自分が哲学や思想に興味が有ることに気づきました。もともと映画が好きだったので、物語も好きでした。そして、哲学を勉強してみたいと思うに至りました。…さらに、哲学の隣にある心理学にも興味をもち、そこからさらに興味を広げています。今は、どの学科を選べばよいのだろうと悩む段階にきているようです。これは、やりたいことがわからなくて選べないのではなくて、興味あることが多いから絞れない段階なのです。
親にこういうことをやってみたいと言ってみたところ、なんでもやれば?という感じで安心したようですが、二言目には「(成績を)頑張りなさい」と言われるのがイヤだそうです。そんなのわかってるわ!ということでしょうね。
いまは興味があるので勉強自体もとても頑張っています。なにをやってみたいのか、興味をもつこと。どんな生活を送ってみたいのか、想像すること。それがやる気に繋がるのだと思いました。
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