やる気のない子供にやってはいけないこととは?という記事を前に書きました。
その時、夢がない子供が増えているということについても触れましたが、
塾講師を長くやっていて、
特に最近は夢を持たない子供が増えているなと感じています。
なぜ彼らは夢をもたないのでしょうか?
家の経済状況を口にする子供が増えている
昔は、高校生に「部活なにしてるの?」と聞くのと同じくらい、小学生に会うと「将来の夢は?」なんて聞く人もいました。
最近は将来の夢をもたない子供が増えています。
夢かとおもったら「公務員」と答えたりします。
なぜなのでしょうか?
ひとまとめにはできないのでいくつか挙げてみると、
- きらきらした将来をそもそも思い描いていないことが多い
- 大人になったら仕事で悩殺されると思っている
- 大人になったらやりたいことよりお金が優先だと思っている
- 夢を追うようなお金が自分の家にはないと思っている
- 自分に自信がないので数年後でさえ考えたくない
- 研究したい未知のものがない
- 知りたい調べたいことがない
- 「大人になったらやりたいこと」がない
とまあ、彼らが答える理由の半分は、両親を見て空気を読んだ結果でした。
苦労する妹、空気を読む妹
家の状況を察してあきらめるのは今の時代に限ったことじゃないですけど、
こう答える子供は特に下のきょうだいに多く、
中学生だろうと
「お兄ちゃんにお金がかかっているからわたしは大学院にはいかずに就職するつもりです」とか…。
小学生だろうと
「お父さんがリストラされてお姉ちゃんにお金がかかっているから、私は公立以外いっちゃいけないことになってる」とか…小学生なのに……。
高校生だろうと
「兄が受験に失敗して人生を甘く見ているのでとても就職できそうにない。家はサラリーマンなので親が死んだら、将来はニートになりそうな兄を私が養わなければいけないと思う」とか…
何十年後の話をしてるんだよ…。
※この3つは全部違う家の「妹」さんです。
つまり、家の経済状況は今後よくなるはずがないので、
自分はその範囲内でなんとかしなければいけないと小さい頃から思い込んでいるのです。
実は子供たちは現実を見ている
これが日本が高度成長期などの頃であれば、残業すれば給料はあがる、勤続何年すれば給料があがる、子供のためにも頑張るなどの意識が親の側にもありましたが、そうもいきません。
まあ、親や先生の側からしたら、そういう環境にいようが、逆境をバネにしてなにがなんでもやってやる!という気概を見せて欲しいなんて思っちゃったりしますよね。
うちにはお金がないから国公立に入るために頑張って勉強するんだ!!と言ってほしいとか…。
しかし、そこまで頑張って入ってまで勉強したいことがあるのでしょうか?そこですよね。
- 研究したい未知のものがない
- 知りたい調べたいことがない
- 「大人になったらやりたいこと」がない
このあたりが影響して、
特にやりたいこともないし、就職に無難な大学には入ろう、金でうるさく言われない大学に入ろう、自分がコケて怒られないような入れるレベルの大学を受けよう、みたいな感じですべて安全をとる方にいってしまいます。
なぜ子供のチャレンジ精神が減ったか?
昔に比べて、今の世の中は「わからないこと」や「開拓するもの」が減りました。
その結果、結果がでなくてもロマンを追い求めてわからないことを調べる人や、人のやらないことにチャレンジする人ではなく、うまいこと生きて儲ける人のほうが輝いて見えてしまっています。
子どもたちも、自ら最初から後者になりたいわけではないのです。
自分にはそこまでの熱意をもってやりたいこともないし、応援してくれる人もいないし、チャレンジできる環境もないし、じゃあ趣味でいいや、になるのです。趣味を充実して、仕事は我慢して、適度な収入で安穏と暮らしたい、になってしまうのです。
とある生徒は、高校生になって急に勉強を真面目にはじめました。どうしたのかと聞いたら、
「将来を考えた結果、存分ゲームにお金を使えるホワイトな優良企業に就職するために有利な学部と大学に受かることが重要だと気付いた」
というのです。
わかる、わかるけど…ど…!?
別の生徒も、「存分趣味にお金を費やせるような会社に入るために大学生活を頑張る」と言っていましたし、
別の生徒も「大学に入ったらバイトをして自分で好きなだけお金をためて好きなことに使う。就職もやっぱりそういう感じで行く」といってましたし、
みんな実はかなり現実を見ています。
夢がないとひとまとめにしてはいけない
彼らは現実を見すぎているから、無責任に将来の夢を語らないのです。
難しいですよね。こういう子は自分の意志で現実的な将来をちゃんと考えています。
だから、夢がないとひとまとめにして一蹴してはいけない気がします。
夢がないのではなく、現実を見ているのです。
才能を伸ばすという話をしたこともありますけれども、小手先のテクニックではなく、子供のやる気に関わる根っこの部分をどう育てていくか。
そこについて次回以降書いていこうと思います。
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