現代っ子にとって「俳句」問題が苦手な理由とは?

この間、新中学問題集3年発展編(国語)の質問を受けて、詩や俳句、短歌問題の難しさについて実感した。難しいというのは、学問的に難しいとかということではない。子供達の学力が低下したとか、そういうことでもない。何が原因で難しくなってしまっているのかというと――ジェネレーションギャップが原因なのである。

俳句が難しい原因。「ジェネレーションギャップ」

題材:「鳥わたるこきこきこきと罐切れば」(秋元不死男)

これがどんな光景か想像がつくだろうか?終戦直後の食糧難の時代、缶詰を食べられる喜びを感じている俳句。缶詰を缶切りで開けていると、渡り鳥の一群が空を渡っていく…という光景である。

ここまで一発で理解できた中学生が全国に何人居るのだろうか?せめて秋元が1901~1977年に生きた俳人であることや、句が詠まれた時期を添えておくべきではないのだろうか?

ちなみにこの現代っ子に難解な俳句に添えられた問題はというと、
(1)「季語を答えなさい」…これは「鳥わたる」なので平易な問題である。
(2)こきこきこきとは一体どんな様子を表していますか」…現代の子供は2000年以降の生まれであり、缶詰にはプルが付いていて缶切りで開けたことがない子は多い。
(3)「空はどんな様子だと考えられますか。ア~エから選びなさい」…終戦直後の食糧難の時代によまれた俳句であるという情報が与えられていなければ、消去法でしか選びようにない。ぶっちゃけ悪問である。

問題の制作者は間違いなく40代以上の国語精通者であろう。まさか国語に精通していない普通の現代っ子が「缶切りを使ったことがないからこきこきこきが分からない」などという部分で躓くとは思ってもいないだろう。

某中3の少女が言うに、「平安時代の短歌ならまだあの時代なんだなって思って考えるけど、ちょっと前の時代になると逆にわからない」とのこと。確かに、時代が近いが故に逆にわからないのである。

さて、(3)だが、食糧難の時代に缶詰を食べる喜びが分かっていれば、「快晴」であるのは確実にわかることである。しかし、その大前提が分からない場合、どう選択肢を絞り込めばよいのだろうか?
これはこじつけなのだが、まず、「渡り鳥が飛んでいく空」であることから、雨が降っていることはありえない。これで一つ消去。残るのは、「快晴」「夕暮れ」「曇り」なのだが、作者が缶詰を開けていて空が曇りでは俳句を詠むほどの価値のある光景ではないだろう(苦笑)。消去。次に、「渡り鳥」という秋の鳥類が登場しているのに空が夕暮れなのはいかがなものか?夕暮れといえば烏である。というわけで「快晴」に絞る…、こじつけにもほどがある。悪問である。何度も言うが、せめて「終戦直後の俳句」くらいのヒントは与えるべきである。

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Sym
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