前回の記事の最後に、「できるようになること」よりも「受かるために必要なこと」を意識するようにしたことで、やる気のない少女がやる気を出すことに繋がったと話しました。
今回はそこについて詳しく述べていこうと思っています。
勉強しているのに過去問で点数が伸びない生徒の特徴
今までも勉強しているのに伸びないという人のことは色々と書いてきました。
今回は、勉強しているのに伸びない、ではなく、
勉強して伸ばしたいものが…
×総合偏差値
○過去問での得点率
という話をしていきます。
①各学校の過去問の特徴を把握していない!
例えば…「品川女子は偏差値52くらい必要」と言われます。
しかし、偏差値52あれば品川女子に合格するのでしょうか?
いいえ、違いますよね。
合格するためには何が必要なのでしょうか?
模試ではなく、過去問で合格最低点を超えることが必要なのです。
偏差値は合格や学力の目安でしかなく、偏差値が足りているからといってその学校に確実に受かる保証はありませんよね。
例えば品川女子の算数は「日能研の公開模試とくらべて」以下のような特徴があります。
- 計算問題が途中式も含めた記述式である(公開模試は答えのみ)
- 大問4~6の最後の問題は絶対に記述式である(公開模試はそこまで記述式の割合が多くない)
- 記述式問題の配点が大きく、途中点も狙える
ならば、一生懸命テキストにしがみついて勉強することや、模試で点数を取ることではなく、
過去問で点数を取れるようにすることがもっとも合格への近道なのです。
子供本人が、自分の志望校の各教科の
出題傾向と問題形式の両方
について熟知している必要があると思ってください。
「過去問の傾向」から知る:教科書の知識や教科の枠を超えた問題が出る学校
二つ例を紹介しますが、このような学校の場合、教科書や問題集をよく解いて模試で良い点をとっても過去問で点数が取れないことは多々あります。
学校ごとの過去問傾向をよく分析し、
学校の先生が求める生徒像とも照らし合わせると良いでしょう。
たとえば、頌栄の理科では、過去に社会の問題か?と思われるような出題がされたこともあります。四万十川の橋に手すりがないのはなぜか?という問題が、社会ではなく理科で出たのです。しかも、「なぜか?」については、知識を問うているのではなく、「なぜだと思いますか?考えを述べてください」という感じだったのです。
答えは、幅の広い川では洪水などで木の枝や漂流物が手すりに引っかかってしまうと橋自体が流される可能性が高いから…それゆえに手すりや柵をなくして洪水で橋が流されないようにしている、というのが知識として正しい解答になります。
しかし、これは理科では習わず、社会の地理で習う問題です。しかし小学生レベルだったかは忘れました。これが理科で出てしまうということから、この学校の理科はただ教科書を丸暗記した子供では答えられない問題が出る(教科をまたいだ総合的な知識力と発想力と応用力を求められている)ということがよくわかります。
これは社会の基本問題という問題集に載っていた過去問でしたが、江戸時代のある藩の石高が書かれていました。その数、90万石です。設問は、この数字は現在の何の量を示していると思いますか(記述式)が一問目、二問目がこの藩は現在の何県だと思いますか(四択)でした。
これは…生徒に「日能研の教科書のどこにこの問題の答えが載っていますか?」と聞かれたのですが、おそらくはっきりとは載っていないです…。では作成した学校の側はといえば、「これくらい時代劇や大河ドラマ見てれば常識」「サービス問題」と思っている可能性が高いです。なぜなら、「加賀百万石」は時代劇で定番のフレーズですし、各藩のナントカ万石は米の取れ高を示すものだということは、教科書に載せる知識ではなく、歴史的な常識?に含まれるのです。答えは、一問目が「米」で、二問目が選択肢「新潟」に当たります。
この学校の先生の求める生徒像は、この問題を「なーんだ時代劇見てればただのサービス問題じゃん!楽勝(笑)」と思えるような、教科書以外の雑学力を持つ生徒だということがわかるのです。
②捨て問を考えずに前から全部解いてしまう
これは模試での練習不足も大きいと思います。
何も知らないと、点数を取ることより、目の前の問題を解くことに集中してしまいます。
それで7(1)や6(1)よりも難しい2(4)や(5)を頑張ってしまい、後ろが全部真っ白になってしまう…
頑張って全てに取り組むという努力より、
一問でも多く解ける問題を解いて点数を増やすことを努力しましょう。
どうか努力の方向を変えてあげてください。
③問題集と同じ感覚で過去問に取り組んでいる
過去問を解く時、私は以下のことがNGだと思っています。
× 一日に大問1つずつ解かせて日割りにする
× 採点を親がやる
× (特に算数を)過去問集の原本を見ながらノートに解く
× 解答用紙を使わずにノートに答えを書く
一つ目、日割りはかなり良くないです。
なぜなら、「捨て問の意識」「総合点で何点取るか意識する」という感覚が失われるからです。
二つ目、本人が採点しないのは良くないです。
過去問を解いて、丸をつけながらやったー、×をつけながら悔しい…と思う気持ちは本人が得るべきものです。
その一喜一憂は解いた本人に与えるべきです。
三つ目、過去問集を横においてノートに解くのはダメだと私は思います。
なぜなら、本番は書き込みして解くのだし、本番はノートのような沢山の有り余るほどの余白がないことが多いのです。
だから、練習の時からコピーをしてそちらに書き込んで、いかに計算スペースがないのかを身をもってわかっておく必要があります。
四つ目、解答用紙を使わない場合、国語で特に残念なことになります。
あれっ思ったより解答欄が狭いぞ!などのヒントが得られないので、記述式の解答で本番とは異なる状況が生まれてしまいます。
まとめ
- 志望校の各教科の「出題傾向」と「問題形式」を調べ上げて、受験する本人がすらすら語れるくらい詳しくなっておく!
- 捨て問を意識し、総合点で1点でも多くとるような気持ちで過去問に接する
- 問題集と同じ感覚で解くのではなく、なるべく本番と同じ環境を紙面でも実現するようにする!
これから過去問の季節がやってきますのでがんばってくださいね。
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